インプレスのInternet Watch掲載の記事、
「97%のWebサイトが最低限のアクセシビリティに達していない」国連調査
(元記事:First ever global accessibility survey reveals only 3% of websites tested reach minimum levels)
によれば、日本やアメリカを含む20カ国における政府と、有力な航空会社、銀行、新聞社、小売業者のウェブサイトについて、1カ国あたり5サイトの計100サイトをWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG)に対して調べたところ、わずか3%のサイト(3サイト)しか最低限のアクセシビリティを満たしていなかったそうです。
この結果を見て真っ先に思った事は、いまだアクセシビリティに関して最低限の基準をクリアするサイトがこれだけしかないのかという事。また、この調 査で調べられたサイトがどのサイトかは全てわからないものの、Web標準への取り組みが活発で、リハビリテーション法508条などの制定がされているアメ リカのサイトが挙げられていないことも意外でした。
もちろん、日本においても2004年にJIS規格としてJIS X 8341-3「高齢者・障害者等配慮設計指針 - 情報通信における機器・ソフトウェア・サービス - 第3部:ウェブコンテンツ」という指針が示されています。地方自治体の中にはこれらの指針に積極的に取り組んでいる組織があるにもかかわらず、結局日本の公共サイトの中心である政府のサイトが基準を満たしてない結果となってしまったのは少し残念にも思います。
国際的な調査としては、対象となるサイトが100件というのはサンプルとして少なく感じるところもあるのですが、国連の依頼ということもあり、アクセシビリティにしっかりと配慮したサイトが少ないという事に対する注意を促すには良いきっかけになると思いますし、今後も調査の幅をより広げ、続けていってもらいたいものです。
また、この調査では問題のあるサイトにおけるアクセシビリティの顕著な原因にも触れられており、元記事をおおざっぱにみてみると、
- 93%のサイトで画像などの視覚的なコンテンツに対して十分なテキストの説明がされておらず、視覚障害を持った方々に問題となっている。
- 73%のサイトがそのサイトの重要な機能をJavaScriptに頼り、おおよそ10%の利用者がサイトの重要な情報にたどり着くことができない。
- 78%のサイトで背景色と前景色(文字色)のコントラストが悪く、色覚障害や軽い視覚障害の方々が情報を得るのを困難にしている。
- 98%のサイトはプログラミングコードがウェブ標準に従っておらず、それがアクセシビリティにとって悪い基盤になっている。
- 97%のサイトで固定サイズの部位が使われており、テキストのサイズ変更やページの快適なリサイズを妨げ、容易に拡大(縮小)ができない。
- 89%のサイトで文章構造のための見出しを正しく使っておらず、多くの視覚障害を持った方々のナビゲーションを不便にしています。
- 87%のサイトがユーザーへ警告もなしにポップアップウィンドウを現し、またそれが画面拡大ソフトを使っている方々にどこを拡大しているかわからなくなってしまう問題をひきおこしました。
注)訳に関してはこちらで訳している為、間違い等があるかもしれません。
出来れば原文をお読み頂いた方が的確かと思います。
ご指摘などありましたらコメント欄にご意見をよろしくお願いします。
ということだそうです。
まぁ何というか、旧来のウェブサイトに良く見られる負の遺産を未だに引きずっているというか…特に公共機関や公共的な施設や影響力を持っている企業などはもっと配慮していかなければならないということでしょうね。
[参考等]
- W3C(英語)
- Infoaxia(アクセシビリティ関連のポータルサイトです。リンク&資料集:W3C, JIS X 8341-3, 米国リハビリテーション法508条 他、アクセシビリティ関連のサポートツールもあります。)
- A.A.O. – 2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
- Macromedia – アクセシビリティ
- 富士通アクセシビリティ・アシスタンス(アクセシビリティ診断ツール)